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会社更生法

平成十四年法律第百五十四号 ・ 法律 ・ 公布日: 平成14年12月13日

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目次

  • 第一章 総則
  • 第一条 (目的)
  • 第二条 (定義)
  • 第三条 (外国人の地位)
  • 第四条 (更生事件の管轄)
  • 第五条
  • 第六条 (専属管轄)
  • 第七条 (更生事件の移送)
  • 第八条 (任意的口頭弁論等)
  • 第八条の二 (期日の呼出し)
  • 第八条の三 (公示送達の方法)
  • 第八条の四 (電子情報処理組織による申立て等)
  • 第八条の五 (裁判書)
  • 第九条 (不服申立て)
  • 第十条 (公告等)
  • 第十一条 (事件に関する文書の閲覧等)
  • 第十二条 (支障部分の閲覧等の制限)
  • 第十三条 (民事訴訟法の準用)
  • 第十四条 (最高裁判所規則)
  • 第十五条及び第十六条
  • 第二章 更生手続開始の申立て及びこれに伴う保全措置
  • 第一節 更生手続開始の申立て
  • 第十七条 (更生手続開始の申立て)
  • 第十八条 (破産手続開始等の申立義務と更生手続開始の申立て)
  • 第十九条 (解散後の株式会社による更生手続開始の申立て)
  • 第二十条 (疎明)
  • 第二十一条 (費用の予納)
  • 第二十二条 (意見の聴取等)
  • 第二十三条 (更生手続開始の申立ての取下げの制限)
  • 第二節 更生手続開始の申立てに伴う保全措置
  • 第一款 開始前会社に関する他の手続の中止命令等
  • 第二十四条 (他の手続の中止命令等)
  • 第二十五条 (包括的禁止命令)
  • 第二十六条 (包括的禁止命令に関する公告及び送達等)
  • 第二十七条 (包括的禁止命令の解除)
  • 第二款 開始前会社の業務及び財産に関する保全処分等
  • 第二十八条 (開始前会社の業務及び財産に関する保全処分)
  • 第二十九条 (更生手続開始前における商事留置権の消滅請求)
  • 第三款 保全管理命令
  • 第三十条 (保全管理命令)
  • 第三十一条 (保全管理命令に関する公告及び送達)
  • 第三十二条 (保全管理人の権限)
  • 第三十三条 (保全管理人代理)
  • 第三十四条 (準用)
  • 第四款 監督命令
  • 第三十五条 (監督命令)
  • 第三十六条 (監督命令に関する公告及び送達)
  • 第三十七条 (取締役等の管財人の適性に関する調査)
  • 第三十八条 (準用)
  • 第五款 更生手続開始前の調査命令等

条文

第一条 (目的)

この法律は、窮境にある株式会社について、更生計画の策定及びその遂行に関する手続を定めること等により、債権者、株主その他の利害関係人の利害を適切に調整し、もって当該株式会社の事業の維持更生を図ることを目的とする。

第二条 (定義)

この法律において「更生手続」とは、株式会社について、この法律の定めるところにより、更生計画を定め、更生計画が定められた場合にこれを遂行する手続(更生手続開始の申立てについて更生手続開始の決定をするかどうかに関する審理及び裁判をする手続を含む。)をいう。

この法律において「更生計画」とは、更生債権者等又は株主の権利の全部又は一部を変更する条項その他の第百六十七条に規定する条項を定めた計画をいう。

この法律において「更生事件」とは、更生手続に係る事件をいう。

この法律において「更生裁判所」とは、更生事件が係属している地方裁判所をいう。

この法律(第六条、第四十一条第一項第二号、第百五十五条第二項、第百五十九条、第二百四十六条第一項から第三項まで、第二百四十八条第一項から第三項まで、第二百五十条並びに第二百五十五条第一項及び第二項を除く。)において「裁判所」とは、更生事件を取り扱う一人の裁判官又は裁判官の合議体をいう。

第三条 (外国人の地位)

外国人又は外国法人は、更生手続に関し日本人又は日本法人と同一の地位を有する。

第四条 (更生事件の管轄)

この法律の規定による更生手続開始の申立ては、株式会社が日本国内に営業所を有するときに限り、することができる。

第五条

更生事件は、株式会社の主たる営業所の所在地(外国に主たる営業所がある場合にあっては、日本における主たる営業所の所在地)を管轄する地方裁判所が管轄する。

前項の規定にかかわらず、更生手続開始の申立ては、株式会社の本店の所在地を管轄する地方裁判所にもすることができる。

第一項の規定にかかわらず、株式会社が他の株式会社の総株主の議決権(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株式についての議決権を除き、会社法第八百七十九条第三項の規定により議決権を有するものとみなされる株式についての議決権を含む。以下同じ。)の過半数を有する場合には、当該他の株式会社(以下この項及び次項において「子株式会社」という。)について更生事件が係属しているときにおける当該株式会社(以下この項及び次項において「親株式会社」という。)についての更生手続開始の申立ては、子株式会社の更生事件が係属している地方裁判所にもすることができ、親株式会社について更生事件が係属しているときにおける子株式会社についての更生手続開始の申立ては、親株式会社の更生事件が係属している地方裁判所にもすることができる。

子株式会社又は親株式会社及び子株式会社が他の株式会社の総株主の議決権の過半数を有する場合には、当該他の株式会社を当該親株式会社の子株式会社とみなして、前項の規定を適用する。

第一項の規定にかかわらず、株式会社が最終事業年度について会社法第四百四十四条の規定により当該株式会社及び他の株式会社に係る連結計算書類(同条第一項に規定する連結計算書類をいう。)を作成し、かつ、当該株式会社の定時株主総会においてその内容が報告された場合には、当該他の株式会社について更生事件が係属しているときにおける当該株式会社についての更生手続開始の申立ては、当該他の株式会社の更生事件が係属している地方裁判所にもすることができ、当該株式会社について更生事件が係属しているときにおける当該他の株式会社についての更生手続開始の申立ては、当該株式会社の更生事件が係属している地方裁判所にもすることができる。

第六条 (専属管轄)

この法律に規定する裁判所の管轄は、専属とする。

第七条 (更生事件の移送)

裁判所は、著しい損害又は遅滞を避けるため必要があると認めるときは、職権で、更生事件を次に掲げる地方裁判所のいずれかに移送することができる。

第八条 (任意的口頭弁論等)

更生手続に関する裁判は、口頭弁論を経ないですることができる。

裁判所は、職権で、更生事件に関して必要な調査をすることができる。

裁判所は、必要があると認めるときは、開始前会社又は更生会社の事業を所管する行政庁及び租税等の請求権(租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律(昭和四十四年法律第四十六号。以下「租税条約等実施特例法」という。)第十一条第一項に規定する共助対象外国租税(以下「共助対象外国租税」という。)の請求権を除く。)につき徴収の権限を有する者に対して、当該開始前会社又は当該更生会社の更生手続について意見の陳述を求めることができる。

前項に規定する行政庁又は徴収の権限を有する者は、裁判所に対して、同項に規定する開始前会社又は更生会社の更生手続について意見を述べることができる。

第八条の二 (期日の呼出し)

更生手続における期日の呼出しは、呼出状の送達、当該事件について出頭した者に対する期日の告知その他相当と認める方法によってする。

呼出状の送達及び当該事件について出頭した者に対する期日の告知以外の方法による期日の呼出しをしたときは、期日に出頭しない者に対し、法律上の制裁その他期日の不遵守による不利益を帰することができない。ただし、その者が期日の呼出しを受けた旨を記載した書面を提出したときは、この限りでない。

第八条の三 (公示送達の方法)

更生手続における公示送達は、裁判所書記官が送達すべき書類を保管し、いつでも送達を受けるべき者に交付すべき旨を裁判所の掲示場に掲示してする。

第八条の四 (電子情報処理組織による申立て等)

更生手続における申立てその他の申述(以下この条において「申立て等」という。)のうち、当該申立て等に関するこの法律その他の法令の規定により書面等(書面、書類、文書、謄本、抄本、正本、副本、複本その他文字、図形等人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。次項及び第四項において同じ。)をもってするものとされているものであって、最高裁判所の定める裁判所に対してするもの(当該裁判所の裁判長、受命裁判官、受託裁判官又は裁判所書記官に対してするものを含む。)については、当該法令の規定にかかわらず、最高裁判所規則で定めるところにより、電子情報処理組織(裁判所の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下この項及び第三項において同じ。)と申立て等をする者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。)を用いてすることができる。

前項の規定によりされた申立て等については、当該申立て等を書面等をもってするものとして規定した申立て等に関する法令の規定に規定する書面等をもってされたものとみなして、当該申立て等に関する法令の規定を適用する。

第一項の規定によりされた申立て等は、同項の裁判所の使用に係る電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に、当該裁判所に到達したものとみなす。

第一項の場合において、当該申立て等に関する他の法令の規定により署名等(署名、記名、押印その他氏名又は名称を書面等に記載することをいう。以下この項において同じ。)をすることとされているものについては、当該申立て等をする者は、当該法令の規定にかかわらず、当該署名等に代えて、最高裁判所規則で定めるところにより、氏名又は名称を明らかにする措置を講じなければならない。

第一項の規定によりされた申立て等が第三項に規定するファイルに記録されたときは、第一項の裁判所は、当該ファイルに記録された情報の内容を書面に出力しなければならない。

第八条の五 (裁判書)

更生手続に関する裁判の裁判書を作成する場合には、当該裁判書には、当該裁判に係る主文、当事者及び法定代理人並びに裁判所を記載しなければならない。

前項の裁判書を送達する場合には、当該送達は、当該裁判書の正本によってする。

第九条 (不服申立て)

更生手続に関する裁判につき利害関係を有する者は、この法律に特別の定めがある場合に限り、当該裁判に対し即時抗告をすることができる。その期間は、裁判の公告があった場合には、その公告が効力を生じた日から起算して二週間とする。

第十条 (公告等)

この法律の規定による公告は、官報に掲載してする。

公告は、掲載があった日の翌日に、その効力を生ずる。

この法律の規定により送達をしなければならない場合には、公告をもって、これに代えることができる。ただし、この法律の規定により公告及び送達をしなければならない場合は、この限りでない。

この法律の規定により裁判の公告がされたときは、一切の関係人に対して当該裁判の告知があったものとみなす。

前二項の規定は、この法律に特別の定めがある場合には、適用しない。

第十一条 (事件に関する文書の閲覧等)

利害関係人は、裁判所書記官に対し、この法律(この法律において準用する他の法律を含む。)の規定に基づき、裁判所に提出され、又は裁判所が作成した文書その他の物件(以下この条及び次条第一項において「文書等」という。)の閲覧を請求することができる。

利害関係人は、裁判所書記官に対し、文書等の謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は事件に関する事項の証明書の交付を請求することができる。

前項の規定は、文書等のうち録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。)に関しては、適用しない。この場合において、これらの物について利害関係人の請求があるときは、裁判所書記官は、その複製を許さなければならない。

前三項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる者は、当該各号に定める命令、保全処分、許可又は裁判のいずれかがあるまでの間は、前三項の規定による請求をすることができない。ただし、当該者が更生手続開始の申立人である場合は、この限りでない。

第十二条 (支障部分の閲覧等の制限)

次に掲げる文書等について、利害関係人がその閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又はその複製(以下この条において「閲覧等」という。)を行うことにより、更生会社(開始前会社及び開始前会社又は更生会社であった株式会社を含む。以下この条において同じ。)の事業の維持更生に著しい支障を生ずるおそれ又は更生会社の財産に著しい損害を与えるおそれがある部分(以下この条において「支障部分」という。)があることにつき疎明があった場合には、裁判所は、当該文書等を提出した保全管理人、管財人又は調査委員の申立てにより、支障部分の閲覧等の請求をすることができる者を、当該申立てをした者及び更生会社(管財人又は保全管理人が選任されている場合にあっては、管財人又は保全管理人。次項において同じ。)に限ることができる。

前項の申立てがあったときは、その申立てについての裁判が確定するまで、利害関係人(同項の申立てをした者及び更生会社を除く。次項において同じ。)は、支障部分の閲覧等の請求をすることができない。

支障部分の閲覧等の請求をしようとする利害関係人は、更生裁判所に対し、第一項に規定する要件を欠くこと又はこれを欠くに至ったことを理由として、同項の規定による決定の取消しの申立てをすることができる。

第一項の申立てを却下した決定及び前項の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。

第一項の規定による決定を取り消す決定は、確定しなければその効力を生じない。

第十三条 (民事訴訟法の準用)

特別の定めがある場合を除き、更生手続に関しては、その性質に反しない限り、民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第一編から第四編までの規定(同法第七十一条第二項、第九十一条の二、第九十二条第九項及び第十項、第九十二条の二第二項、第九十四条、第百条第二項、第一編第五章第四節第三款、第百十一条、第一編第七章、第百三十三条の二第五項及び第六項、第百三十三条の三第二項、第百五十一条第三項、第百六十条第二項、第百八十五条第三項、第二百五条第二項、第二百十五条第二項、第二百二十七条第二項並びに第二百三十二条の二の規定を除く。)を準用する。この場合において、別表の上欄に掲げる同法の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。

第十四条 (最高裁判所規則)

この法律に定めるもののほか、更生手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。

第十五条及び第十六条

削除

第十七条 (更生手続開始の申立て)

株式会社は、当該株式会社に更生手続開始の原因となる事実(次の各号に掲げる場合のいずれかに該当する事実をいう。)があるときは、当該株式会社について更生手続開始の申立てをすることができる。

株式会社に前項第一号に掲げる場合に該当する事実があるときは、次に掲げる者も、当該株式会社について更生手続開始の申立てをすることができる。

第十八条 (破産手続開始等の申立義務と更生手続開始の申立て)

他の法律の規定により株式会社の清算人が当該株式会社に対して破産手続開始又は特別清算開始の申立てをしなければならない場合においても、更生手続開始の申立てをすることを妨げない。

第十九条 (解散後の株式会社による更生手続開始の申立て)

清算中、特別清算中又は破産手続開始後の株式会社がその更生手続開始の申立てをするには、会社法第三百九条第二項に定める決議によらなければならない。

第二十条 (疎明)

更生手続開始の申立てをするときは、第十七条第一項に規定する更生手続開始の原因となる事実を疎明しなければならない。

第十七条第二項の規定により債権者又は株主が申立てをするときは、その有する債権の額又は議決権(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株式についての議決権を除き、会社法第八百七十九条第三項の規定により議決権を有するものとみなされる株式についての議決権を含む。)の数をも疎明しなければならない。

第二十一条 (費用の予納)

更生手続開始の申立てをするときは、申立人は、更生手続の費用として裁判所の定める金額を予納しなければならない。

費用の予納に関する決定に対しては、即時抗告をすることができる。

第二十二条 (意見の聴取等)

裁判所は、第十七条の規定による更生手続開始の申立てがあった場合には、当該申立てを棄却すべきこと又は更生手続開始の決定をすべきことが明らかである場合を除き、当該申立てについての決定をする前に、開始前会社の使用人の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、開始前会社の使用人の過半数で組織する労働組合がないときは開始前会社の使用人の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。

第十七条第二項の規定により債権者又は株主が更生手続開始の申立てをした場合においては、裁判所は、当該申立てについての決定をするには、開始前会社の代表者(外国に本店があるときは、日本における代表者)を審尋しなければならない。

第二十三条 (更生手続開始の申立ての取下げの制限)

更生手続開始の申立てをした者は、更生手続開始の決定前に限り、当該申立てを取り下げることができる。この場合において、次条第一項若しくは第二項の規定による中止の命令、第二十五条第二項に規定する包括的禁止命令、第二十八条第一項の規定による保全処分、第二十九条第三項の規定による許可、第三十条第二項に規定する保全管理命令、第三十五条第二項に規定する監督命令又は第三十九条の二第一項の規定による保全処分があった後は、裁判所の許可を得なければならない。

第二十四条 (他の手続の中止命令等)

裁判所は、更生手続開始の申立てがあった場合において、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、更生手続開始の申立てにつき決定があるまでの間、次に掲げる手続又は処分の中止を命ずることができる。ただし、第二号に掲げる手続又は第六号に掲げる処分については、その手続の申立人である更生債権者等又はその処分を行う者に不当な損害を及ぼすおそれがない場合に限る。

裁判所は、更生手続開始の申立てがあった場合において、必要があると認めるときは、職権で、国税滞納処分(共益債権を徴収するためのものを除き、国税滞納処分の例による処分(共益債権及び共助対象外国租税の請求権を徴収するためのものを除く。)を含む。)で、開始前会社の財産に対して既にされているものの中止を命ずることができる。ただし、あらかじめ、徴収の権限を有する者の意見を聴かなければならない。

前項の規定による中止の命令は、更生手続開始の申立てについて決定があったとき、又は中止を命ずる決定があった日から二月を経過したときは、その効力を失う。

裁判所は、第一項及び第二項の規定による中止の命令を変更し、又は取り消すことができる。

裁判所は、開始前会社の事業の継続のために特に必要があると認めるときは、開始前会社(保全管理人が選任されている場合にあっては、保全管理人)の申立てにより、担保を立てさせて、第一項第二号の規定により中止した同号に規定する強制執行等の手続、同項第六号の規定により中止した同号に規定する外国租税滞納処分又は第二項の規定により中止した同項に規定する国税滞納処分の取消しを命ずることができる。ただし、当該国税滞納処分の取消しを命ずる場合においては、あらかじめ、徴収の権限を有する者の意見を聴かなければならない。

第二十五条 (包括的禁止命令)

裁判所は、更生手続開始の申立てがあった場合において、前条第一項第二号若しくは第六号又は第二項の規定による中止の命令によっては更生手続の目的を十分に達成することができないおそれがあると認めるべき特別の事情があるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、更生手続開始の申立てにつき決定があるまでの間、全ての更生債権者等に対し、同条第一項第二号に規定する強制執行等、同項第六号に規定する外国租税滞納処分及び同条第二項に規定する国税滞納処分の禁止を命ずることができる。ただし、事前に又は同時に、開始前会社の主要な財産に関し第二十八条第一項の規定による保全処分をした場合又は第三十条第二項に規定する保全管理命令若しくは第三十五条第二項に規定する監督命令をした場合に限る。

前項の規定による禁止の命令(以下「包括的禁止命令」という。)を発する場合において、裁判所は、相当と認めるときは、一定の範囲に属する前条第一項第二号に規定する強制執行等、同項第六号に規定する外国租税滞納処分又は同条第二項に規定する国税滞納処分を包括的禁止命令の対象から除外することができる。

包括的禁止命令が発せられた場合には、次の各号に掲げる手続で、開始前会社の財産に対して既にされているもの(当該包括的禁止命令により禁止されることとなるものに限る。)は、当該各号に定める時までの間、中止する。

裁判所は、包括的禁止命令を変更し、又は取り消すことができる。

裁判所は、開始前会社の事業の継続のために特に必要があると認めるときは、開始前会社(保全管理人が選任されている場合にあっては、保全管理人)の申立てにより、担保を立てさせて、第三項の規定により中止した同項各号に掲げる手続の取消しを命ずることができる。ただし、前条第二項に規定する国税滞納処分の取消しを命ずる場合においては、あらかじめ、徴収の権限を有する者の意見を聴かなければならない。

第二十六条 (包括的禁止命令に関する公告及び送達等)

包括的禁止命令及びこれを変更し、又は取り消す旨の決定があった場合には、その旨を公告し、その裁判書を開始前会社(保全管理人が選任されている場合にあっては、保全管理人。次項において同じ。)及び申立人に送達し、かつ、その決定の主文を知れている更生債権者等及び開始前会社(保全管理人が選任されている場合に限る。)に通知しなければならない。

包括的禁止命令及びこれを変更し、又は取り消す旨の決定は、開始前会社に対する裁判書の送達がされた時から、効力を生ずる。

前条第五項の規定による取消しの命令及び同条第六項の即時抗告についての裁判(包括的禁止命令を変更し、又は取り消す旨の決定を除く。)があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。

第二十七条 (包括的禁止命令の解除)

裁判所は、包括的禁止命令を発した場合において、第二十四条第一項第二号に規定する強制執行等の申立人である更生債権者等に不当な損害を及ぼすおそれがあると認めるときは、当該更生債権者等の申立てにより、当該更生債権者等に限り当該包括的禁止命令を解除する旨の決定をすることができる。この場合において、当該更生債権者等は、開始前会社の財産に対する当該強制執行等をすることができ、当該包括的禁止命令が発せられる前に当該更生債権者等がした当該強制執行等の手続は、続行する。

前項の規定は、裁判所が第二十四条第一項第六号に規定する外国租税滞納処分又は同条第二項に規定する国税滞納処分を行う者に不当な損害を及ぼすおそれがあると認める場合について準用する。

第一項(前項において準用する場合を含む。次項及び第六項において同じ。)の規定による解除の決定を受けた者に対する第二十五条第八項の規定の適用については、同項中「当該包括的禁止命令が効力を失った日」とあるのは、「第二十七条第一項(同条第二項において準用する場合を含む。)の規定による解除の決定があった日」とする。

第一項の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。

前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。

第二十八条 (開始前会社の業務及び財産に関する保全処分)

裁判所は、更生手続開始の申立てがあった場合には、利害関係人の申立てにより又は職権で、更生手続開始の申立てにつき決定があるまでの間、開始前会社の業務及び財産に関し、開始前会社の財産の処分禁止の仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。

裁判所は、前項の規定による保全処分を変更し、又は取り消すことができる。

第一項の規定による保全処分及び前項の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。

前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。

第三項に規定する裁判及び同項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。この場合においては、第十条第三項本文の規定は、適用しない。

第二十九条 (更生手続開始前における商事留置権の消滅請求)

開始前会社の財産につき商法又は会社法の規定による留置権がある場合において、当該財産が開始前会社の事業の継続に欠くことのできないものであるときは、開始前会社(保全管理人が選任されている場合にあっては、保全管理人)は、更生手続開始の申立てにつき決定があるまでの間、留置権者に対して、当該留置権の消滅を請求することができる。

前項の請求をするには、同項の財産の価額に相当する金銭を、同項の留置権者に弁済しなければならない。

第一項の請求及び前項の弁済をするには、裁判所の許可を得なければならない。

前項の規定による許可があった場合における第二項の弁済の額が第一項の財産の価額を満たすときは、当該弁済の時又は同項の請求の時のいずれか遅い時に、同項の留置権は消滅する。

前項の規定により第一項の留置権が消滅したことを原因とする同項の財産の返還を求める訴訟においては、第二項の弁済の額が当該財産の価額を満たさない場合においても、原告の申立てがあり、当該訴訟の受訴裁判所が相当と認めるときは、当該受訴裁判所は、相当の期間内に不足額を弁済することを条件として、第一項の留置権者に対して、当該財産を返還することを命ずることができる。

第三十条 (保全管理命令)

裁判所は、更生手続開始の申立てがあった場合において、更生手続の目的を達成するために必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、更生手続開始の申立てにつき決定があるまでの間、開始前会社の業務及び財産に関し、保全管理人による管理を命ずる処分をすることができる。

裁判所は、前項の処分(以下「保全管理命令」という。)をする場合には、当該保全管理命令において、一人又は数人の保全管理人を選任しなければならない。ただし、第六十七条第三項に規定する者は、保全管理人に選任することができない。

裁判所は、保全管理命令を変更し、又は取り消すことができる。

保全管理命令及び前項の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。

前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。

第三十一条 (保全管理命令に関する公告及び送達)

裁判所は、保全管理命令を発したときは、その旨を公告しなければならない。保全管理命令を変更し、又は取り消す旨の決定があった場合も、同様とする。

保全管理命令、前条第三項の規定による決定及び同条第四項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。

第十条第四項の規定は、第一項の場合については、適用しない。

第三十二条 (保全管理人の権限)

保全管理命令が発せられたときは、開始前会社の事業の経営並びに財産(日本国内にあるかどうかを問わない。)の管理及び処分をする権利は、保全管理人に専属する。ただし、保全管理人が開始前会社の常務に属しない行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。

前項ただし書の許可を得ないでした行為は、無効とする。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。

第七十二条第二項及び第三項の規定は、保全管理人について準用する。

第三十三条 (保全管理人代理)

保全管理人は、必要があるときは、その職務を行わせるため、自己の責任で一人又は数人の保全管理人代理を選任することができる。ただし、第六十七条第三項に規定する者は、保全管理人代理に選任することができない。

前項の保全管理人代理の選任については、裁判所の許可を得なければならない。

第三十四条 (準用)

第五十四条、第五十七条、第五十九条、第六十七条第二項、第六十八条、第六十九条、第七十三条、第七十四条第一項、第七十六条から第八十条まで、第八十一条第一項から第四項まで及び第八十二条第一項から第三項までの規定は保全管理人について、第八十一条第一項から第四項までの規定は保全管理人代理について、それぞれ準用する。この場合において、第五十九条中「第四十三条第一項の規定による公告」とあるのは「第三十一条第一項の規定による公告」と、第八十二条第二項中「後任の管財人」とあるのは「後任の保全管理人又は管財人」と、同条第三項中「後任の管財人」とあるのは「後任の保全管理人、管財人」と読み替えるものとする。

第五十二条第一項から第三項までの規定は保全管理命令が発せられた場合について、同条第四項から第六項までの規定は保全管理命令が効力を失った場合(更生手続開始の決定があった場合を除く。)について、それぞれ準用する。

開始前会社の財産関係の事件で行政庁に係属するものについては、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める規定を準用する。

第六十五条の規定は、保全管理人が選任されている期間中に取締役、執行役又は清算人が自己又は第三者のために開始前会社の事業の部類に属する取引をしようとする場合について準用する。

第六十六条第一項本文の規定は、保全管理人が選任されている期間中における開始前会社の取締役、会計参与、監査役、執行役及び清算人について準用する。

第三十五条 (監督命令)

裁判所は、更生手続開始の申立てがあった場合において、更生手続の目的を達成するために必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、更生手続開始の申立てにつき決定があるまでの間、監督委員による監督を命ずる処分をすることができる。

裁判所は、前項の処分(以下「監督命令」という。)をする場合には、当該監督命令において、一人又は数人の監督委員を選任し、かつ、その同意を得なければ開始前会社がすることができない行為を指定しなければならない。

前項に規定する監督委員の同意を得ないでした行為は、無効とする。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。

裁判所は、監督命令を変更し、又は取り消すことができる。

監督命令及び前項の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。

第三十六条 (監督命令に関する公告及び送達)

裁判所は、監督命令を発したときは、その旨を公告しなければならない。監督命令を変更し、又は取り消す旨の決定があった場合も、同様とする。

監督命令、前条第四項の規定による決定及び同条第五項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。

第十条第四項の規定は、第一項の場合については、適用しない。

第三十七条 (取締役等の管財人の適性に関する調査)

裁判所は、監督委員に対して、開始前会社の取締役、会計参与、監査役、執行役、会計監査人若しくは清算人若しくはこれらの者であった者又は発起人、設立時取締役若しくは設立時監査役であった者のうち裁判所の指定する者が管財人又は管財人代理の職務を行うに適した者であるかどうかについて調査し、かつ、裁判所の定める期間内に当該調査の結果を報告すべきことを命ずることができる。

第三十八条 (準用)

第六十七条第二項、第六十八条、第六十九条第一項、第七十七条、第八十条及び第八十一条第一項から第四項までの規定は、監督委員について準用する。

第三十九条 (更生手続開始前の調査命令)

裁判所は、更生手続開始の申立てがあった時から当該申立てについての決定があるまでの間においても、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、次に掲げる事項の全部又は一部を対象とする第百二十五条第二項に規定する調査命令を発することができる。

第三十九条の二 (否認権のための保全処分)

裁判所は、更生手続開始の申立てがあった時から当該申立てについての決定があるまでの間において、否認権を保全するため必要があると認めるときは、利害関係人(保全管理人が選任されている場合にあっては、保全管理人)の申立てにより又は職権で、仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。

前項の規定による保全処分は、担保を立てさせて、又は立てさせないで命ずることができる。

裁判所は、申立てにより又は職権で、第一項の規定による保全処分を変更し、又は取り消すことができる。

第一項の規定による保全処分及び前項の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。

前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。

第四十条 (更生手続開始前の役員等の財産に対する保全処分)

裁判所は、更生手続開始の申立てがあった時から当該申立てについての決定があるまでの間においても、緊急の必要があると認めるときは、開始前会社(保全管理人が選任されている場合にあっては、保全管理人)の申立てにより又は職権で、第九十九条第一項各号に掲げる保全処分をすることができる。

第九十九条第二項から第五項までの規定は、前項の規定による保全処分があった場合について準用する。

第四十一条 (更生手続開始の決定)

裁判所は、第十七条の規定による更生手続開始の申立てがあった場合において、同条第一項に規定する更生手続開始の原因となる事実があると認めるときは、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、更生手続開始の決定をする。

前項の決定は、その決定の時から、効力を生ずる。

第四十二条 (更生手続開始の決定と同時に定めるべき事項)

裁判所は、更生手続開始の決定と同時に、一人又は数人の管財人を選任し、かつ、更生債権等の届出をすべき期間及び更生債権等の調査をするための期間を定めなければならない。

前項の場合において、知れている更生債権者等の数が千人以上であり、かつ、相当と認めるときは、裁判所は、次条第五項本文において準用する同条第三項第一号及び第四十四条第三項本文の規定による知れている更生債権者等に対する通知をせず、かつ、第百三十八条から第百四十条まで又は第百四十二条の規定により更生債権等の届出をした更生債権者等(以下「届出をした更生債権者等」という。)を関係人集会(更生計画案の決議をするためのものを除く。)の期日に呼び出さない旨の決定をすることができる。

第四十三条 (更生手続開始の公告等)

裁判所は、更生手続開始の決定をしたときは、直ちに、次に掲げる事項を公告しなければならない。ただし、第五号に規定する社債管理者等がないときは、同号に掲げる事項については、公告することを要しない。

前条第二項の決定があったときは、裁判所は、前項各号に掲げる事項のほか、第五項本文において準用する次項第一号及び次条第三項本文の規定による知れている更生債権者等に対する通知をせず、かつ、届出をした更生債権者等を関係人集会(更生計画案の決議をするためのものを除く。)の期日に呼び出さない旨をも公告しなければならない。

次に掲げる者には、前二項の規定により公告すべき事項を通知しなければならない。

前項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる場合には、それぞれ当該各号に定める者に対しては、同項の規定による通知をすることを要しない。

第一項第二号、第三項第一号から第三号まで及び前項の規定は第一項第二号に掲げる事項に変更を生じた場合について、第一項第三号、第三項第一号及び第二号並びに前項の規定は第一項第三号に掲げる事項に変更を生じた場合(更生債権等の届出をすべき期間に変更を生じた場合に限る。)について準用する。ただし、前条第二項の決定があったときは、知れている更生債権者等に対しては、当該通知をすることを要しない。

第四十四条 (抗告)

更生手続開始の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。

前章第二節の規定は、更生手続開始の申立てを棄却する決定に対して前項の即時抗告があった場合について準用する。

更生手続開始の決定をした裁判所は、第一項の即時抗告があった場合において、当該決定を取り消す決定が確定したときは、直ちにその主文を公告し、かつ、前条第三項各号(第四号を除く。)に掲げる者(同条第四項の規定により通知を受けなかった者を除く。)にその主文を通知しなければならない。ただし、第四十二条第二項の決定があったときは、知れている更生債権者等に対しては、当該通知をすることを要しない。

第四十五条 (更生会社の組織に関する基本的事項の変更の禁止)

更生手続開始後その終了までの間においては、更生計画の定めるところによらなければ、更生会社について次に掲げる行為を行うことができない。

更生手続開始後その終了までの間においては、更生計画の定めるところによるか、又は裁判所の許可を得なければ、更生会社の定款の変更をすることができない。

第四十六条 (事業等の譲渡)

更生手続開始後その終了までの間においては、更生計画の定めるところによらなければ、更生会社に係る会社法第四百六十七条第一項第一号から第二号の二までに掲げる行為(以下この条において「事業等の譲渡」という。)をすることができない。ただし、次項から第八項までの規定により更生会社に係る事業等の譲渡をする場合は、この限りでない。

更生手続開始後更生計画案を決議に付する旨の決定がされるまでの間においては、管財人は、裁判所の許可を得て、更生会社に係る事業等の譲渡をすることができる。この場合において、裁判所は、当該事業等の譲渡が当該更生会社の事業の更生のために必要であると認める場合に限り、許可をすることができる。

裁判所は、前項の許可をする場合には、次に掲げる者の意見を聴かなければならない。

管財人は、第二項の規定により更生会社に係る事業等の譲渡をしようとする場合には、あらかじめ、次に掲げる事項を公告し、又は株主に通知しなければならない。

前項の規定による株主に対する通知は、株主名簿に記載され、若しくは記録された住所又は株主が更生会社若しくは管財人に通知した場所若しくは連絡先にあてて、することができる。

(全304条のうち最初の50条を表示)